土地区画整理事業をめぐる争い

 
 当法律事務所では、土地区画整理事業をめぐる争いに重点的に取り組んでいます。争いが生じることの多い土地区画整理組合、及び都道府県又は市町村を施行者とする土地区画整理事業について、争いが生じる場面ごとに、争い方のポイントを紹介します(以下、私見による部分もあります。)。 
  
1.土地区画整理組合の設立認可(土地区画整理法14条1項2項)をめぐる争い
○ 土地区画整理組合の設立認可は、処分性が認められ(最判S60.12.17民集39巻8号1821頁)、独立の争いの対象となります(ただし、審査請求はできません。法127条1号)。
○ 争いの主戦場は、当該認可が法21条1項の定める認可の基準を満たすか否かになるでしょう。
 
2.都道府県又は市町村による事業計画決定(土地区画整理法52条1項)をめぐる争い
○ 都道府県又は市町村による事業計画決定は、処分性が認められ(最大判H20.9.10民集62巻8号2029頁)、独立の争いの対象となります(ただし、審査請求はできません。法127条5号)。
 
3.仮換地指定通知(土地区画整理法98条)をめぐる争い
○ 仮換地指定通知には、当然に処分性が認められ、独立の争いの対象となります(審査請求も可能です。直ちに訴訟を提起することもできます)。
○ 後記5の換地指定通知がなされるに至った場合、仮換地指定通知の取消しの訴えは訴えの利益が失われます(最判S48.2.2集民108号153頁)。
○ 違法性の中身としては、照応の原則(法89条1項)をめぐる争いが多いところです。
  
4.建築物等の移転・除却の通知(土地区画整理法77条2項)をめぐる争い
○ 建築物等の移転・除却の通知は、処分性が認められ(長崎地決S39.6.29行集15巻6号1098頁)、独立の争いの対象となります(審査請求も可能です。直ちに訴訟を提起することもできます)。
○ 通知を受けた者が当該建築物等を除却等した場合、あるいは、当該建築物等の直接施行が完了した場合には、建築物等の移転・除却の通知の取消しの訴えは、訴えの利益が失われます(前者につき広島地判H27.3.4判例地方自治403号90頁、後者につき最判S43.10.29集民92号715頁)。
○ 違法性の中身として、通知の前提となる仮換地指定通知の違法性を主張できるか(違法性の承継が認められるか)については、これを肯定する旨の裁判例が複数あります(前掲大阪地判H60.12.18など)。
○ また、建築物等の移転・除却に際して、移転補償費をめぐる争いも少なくありません。
 
5.換地指定通知(土地区画整理法103条)をめぐる争い
○ 換地指定通知には、当然に処分性が認められ、独立の争いの対象となります(審査請求も可能です。直ちに訴訟を提起することもできます)。

○ 違法性の中身としては、照応の原則(法89条1項)をめぐる争いが多いところです。
○ 換地指定通知の前提となる行政の各行為の違法性を主張できるか(違法性の承継が認められるか)については、各行為ごとに慎重な検討が求められます。
(ア)事業計画決定の違法性については、大法廷判決(最大判H20.9.10民集62巻8号2029頁)が判例変更をしてこれに処分性を認めたことから、特に上記大法廷判決以後になされた事業計画決定については違法性の承継がなされるか争いが生じ得るところですが、この点について判示した裁判例は今のところ見あたりません。少なくとも上記大法廷判決以前の事業計画決定については、違法性の承継は認められるでしょう。
(イ)仮換地指定通知の違法性については、違法性の承継を認めない旨の裁判例があり(東京地判H27.9.15判時2295号54頁)、私見としても法の仕組み上やむを得ない判断であると考えます。
○ また、換地指定通知に際して、清算金の徴収・交付をめぐる争いも少なくありません。
 
 
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